〔弁護士 藤澤頼人〕

ウクライナに対するロシアの侵略戦争が始まって半年以上が経ちました。
ロシア軍による虐殺や民意無視の傀儡地方政府の樹立など
21世紀に起こったこととは信じられないくらいの
非道という言葉が軽く感じられるくらいの惨い事実が
これでもかというくらい繰り返し伝えられてきています。
昔と違い、また他の地域とは違い
侵略された場所が民間の通信網の発達した地域であったことから
その惨状は直ちに世界に伝えられ、世界の人々がロシアと
独裁者の恐ろしさを共有することになりました。
 
と、思っていたところ、あるサイトで目にした記事に私は驚愕しました。
どういう記事だったかといえば、スロヴァキア国内での世論調査で
ウクライナ侵略がどのような形で終結することを望むかという質問に対して
スロバキア国民の52.1%がロシア勝利を望むと回答した、というものでした。
半信半疑どころか、一信九疑くらいの気持ちで
その記事に記されていた元の記事のリンクをたどってみますと
スロヴァキアの日刊紙を発行している新聞社の記事で
元記事では、意見の濃淡はあるのですが
たしかに半数以上の回答者がロシア勝利を望むと答え
ウクライナ勝利を望む人は3分の1だというものでした。
元記事は有料のようでしたので、上記の部分しか読めなかったのですが
私が最初に見た日本のサイトの記事には
「プラハの春に関する経験がない世代は総じてロシア支持」だと書かれていましたので
元記事にはそういったことも書かれているのだと思います。

スロヴァキアとロシアの関係といえば、まだそれぞれが
チェコスロヴァキアとソ連だった時代のプラハの春が頭に思い浮かびますが
その時に、自国で芽吹いた改革の芽をソ連率いるワルシャワ条約機構軍が戦車で踏みにじった
という記憶は、今の若者世代には語り継がれていないということでしょうか。

過去に起こったことを語り継ぐ、ということは
現在の自分たちが直面している問題をどのように見るか
ということに直結しているのだということを改めて認識した記事でした。