〔弁護士 山﨑靖子〕

2022年が明けました。おめでとうございます。

さて、今年も色々と改正法の適用があります。
そのうち、成人年齢の引き下げと、パワハラ防止措置が中小企業にも摘要されることについてご紹介します。

①成人年齢の引き下げ

今年4月1日から、成人となる年齢が18歳になります。
高校3年生の途中で成人になるわけです。
このことにより、一番影響があるのは「未成年者取消権」です。

民法では、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として、契約を取り消すことができるとされています。
未成年者が、うっかり高額な物を買ったとか、悪徳商法にだまされた、というような時に、その契約を取り消して被害を防止できるわけです。
しかし、4月からは、18歳になった人は「成人」ですので、「未成年取消権」はありません。
高校生でも一旦契約したら取り消せません。
気をつけましょう。

ただし、たばこやお酒、パチンコなどのギャンブルは、これまでどおり20歳まではできません。
こういうのは、20歳になってもやらない方がいいかもしれませんね。

養育費の支払い義務は、18歳で終わることにはなりません。
養育費は、親が未成熟な子に対する扶養義務として支払うものです。
安心してください。

なお、成人年齢の引き下げによるものではありませんが、結婚年齢が男女ともに18歳になります。
これまで女性は16歳で結婚できましたが、16歳では社会的にも経済的にもまだまだ未熟、ということで、引き上げられました。
結婚相手は、成熟した大人になってから、熟慮して選びましょう。

②「パワーハラスメント防止措置」の義務化

2020年6月から大企業に課せられていたパワハラ防止義務が、中小事業者にも課せられます(この間は努力義務)。
事業をする以上、どの程度の規模の会社や事務所であっても、パワハラに対する措置義務=職場においてパワハラがおこらないようにすることや、起こったときの対応や相談窓口を設置する義務=が課せらるのです。

パワハラ」とは、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」(労働総合施策推進法 第30条の2 第1項)と定義されています。

「パワハラ」があると、受けた人も、行為した人も、会社も、大きなダメージを受けます。
ふだんから対等な関係としてコミュニケーションを結び、風通しのいい職場にする努力をしましょう。

ご心配があれば、どの立場の方でもお気軽にご相談ください。